廃車という言葉はほとんどの方がご存知でしょう。しかし、廃車の定義についてきちんと理解していない人は少なくありません。廃車とは法律に基づいた手続きなのですが、家具や家電の処分のようなイメージと混同されがちです。いざという時のためにも、廃車の定義や手続きについて確認しておきましょう。

廃車の定義とは?

廃車とは、道路運送車両法に基づいた手続きの事です。「車を捨てる・処分する」事と誤解している人も多くいますが、物理的に車を廃棄することではなく、車籍を抹消する事(またはそうされた車)のことを指します。
抹消の仕方は二通りあります。一つは「永久抹消登録」です。これは道路運送車両法第15条に基づいたもので、文字通り再登録に必要な抹消登録証明書の交付が受けられなくなります。一般的なイメージの廃車に近いものがこちらです。
もう一つが、一時抹消登録です。こちらは道路運送車両法第16条に基づくもので、自動車の使用を一時的に中止する意味合いでの手続きとなります。長期間自動車を使用しない場合などに使われます。ただし、抹消登録証明書は原則として再発行されないために、紛失してしまうと再登録が非常に困難になります。

廃車の後はどうなる?

このように、廃車とはあくまで法律に基づいた書類上の手続きのことです。よって、自動車自体の処分はまた別の問題となります。多くの場合は解体業者が引き取り、使用できる部品については中古部品やリビルト品として再び市場に流通することになります。もっともイメージしやすい「スクラップ」ですが、単にプレス機で潰すのではなく、自動車リサイクル法に基づいてフロンガスの回収やエアバックの処理、廃液の抜き取りなど複雑な工程を経た上で潰します。また、その後は材料別に分別して自動車を含めた様々な製品の製造に使われ、再び市場で流通することになります。
変わった使い方としては、まだ動くものであれば映画などの破壊シーンや、テストの実験台などが挙げられます。
もちろんこれは永久抹消登録の場合です。

なぜ廃車になるのか?

廃車になる理由は様々ですが大きく三つが上げられます。
一つは経年廃車です。つまり、老朽化によるものです。しかし、自動車はきちんと手入れをすればかなりの長期間、長距離の使用に耐えることができるものですので、わざわざ廃車にする必要のないケースも多くあります。しかし、「10年・10万Km」が自動車の寿命と漠然と信じられており、これを目安に廃車にするケースが多くありました。
次に用途廃車(余剰廃車)です。これはトラブルや故障によるものです。この場合は修理して売るのが割りに合わないケースがほとんどです。
最後に、事故廃車です。交通事故、地震・台風などの天災によるもので、修復不能な場合も多く含まれます。
このように、廃車にも様々な理由があります。いざと言う時に困らないよう、廃車に関する知識を整理しておきましょう。